半年をかけて、プロジェクトメンバーがお客様と導き出したコンセプトは、『FIELD』でした。

「『FIELD』には、軽食を楽しむ人もいれば、コーヒーを飲んでくつろぎながら働く人もいます。食事時には社員の皆が集まって、最近の仕事の話や悩み相談をする。そんな交流から、新しいアイデアや大きなプロジェクトの種が生まれます。人が偶発的に出会うことで花を咲かせていく、それが〈共創〉と呼ばれる、一緒に何かをつくりあげていくことにつながります」

木野田は「NECが取り組んでいるさまざまな事業をデザインに落とし込んだ」と続けます。

「席数200あまりのひとつながりの空間に、様々なワークスタイルを詰め込んだゾーニングをし、様々な働き方を実践・体感できるデザインにしました。NECが進めている顔認証システムは、厨房まわりの決済に採用しています。オンライン打ち合わせや1ON1ミーティングなど、時代に先駆けて多様な働き方をされていて、これからさらに進化していくことを前提に、変化に柔軟な場所づくりをしました」

木下は、このプロジェクトを通して、「クロスオーバーデザインの大切さを再認識した」と言います。

「メンバーはそれぞれ組織も役割も違いますが、その境界線を超えて、専門性を掛け合わせ、お客様に寄り添って最大のパフォーマンスを発揮できたと思います。NECのプロジェクトチームでは、案件が終わった後にかならずkpt分析をしているんです。今後も継続していく良かった点（KEEP）、次はこう変えていこうという問題点（PROBLEM）、次から新たに挑戦すること（TRY）を、振り返って意見を出し合います。我々もプロセスを含めて改善することでさらにいいパフォーマンスができるし、いいスパイラルでお客様との信頼関係も築ける。それは意識してやってきたことなので、今後も生かしていきたいと思います」