Interview

ソリューション推進

泣きながらハグしてくれた

先日、半年近く担当していたプロジェクトが終了した。ある会社の社員食堂を作るプロジェクトだった。お客様から6名、三井デザインテックから4名の総勢10名からなるプロジェクトチームが組まれた。まずは、先方からの提案で、お客様と一緒に空間のコンセプトを決める合宿を行うところから始まった。お客様は全力で想いを伝えてくれた。私たちもその想いに応え、その想いをさらに越えようと全力で提案した。「お客様と共に、木目の色や家具の素材一つひとつを実際に見ながら空間づくりを行ったので、"一緒に創っている"と手応えを感じていました」。クッションのキルト生地など細部にまでこだわり、プロジェクトチーム全員が納得した上で空間を作った。

お客様にこだわりがあるからこそ、そこへ至るまでのプロセスの説明が求められる。なぜ、その場所にその材質を使用するのか、なぜこの場所にその空間を作るのか。これまで数々の空間を提案してきたが、この時ほどプロセスを考えたことはなかったことに気付く。限られた時間の中で細部にまでこだわりを行き届かせるため、お客様とのやり取りは非常にテンポが速かった。質問にすぐ答えなければならない場面が何度もあった。「1~10まで自分自身が納得できるようになれば、相手にもきちんと説明できると実感しました」。論理的に物事を進めていくことの大切さを学んだ。 完成後の打ち上げで、お客様は涙を流しながら「ありがとう」とハグしてくれた。その瞬間、それまで緊張していた自分の心が温かくほぐれて、涙が頬をつたった。

白か黒か、はっきり示す

デザイナーは常に複数のプロジェクトを抱え、同時に進行していくことも多い。お客様が求める空間のイメージはそれぞれ異なるので、仕事の進め方も様々だ。頭を上手く切り換え、個人の仕事を効率良く進めることもデザイナーの腕の見せ所なのだ。そのため、多くのプロジェクトに携われば携わるだけ、お客様から仕事の進め方を学ぶことのできる機会が増える。

例えば、あるお客様では「To Doリスト」を可視化していた。物事を進めていくうえで、「誰が」「いつまでに」「どうしなければならないか」を明確に示し、全員で共有していたのだ。誰がどのボールを持っていて、いつまでに相手に渡さなければならないか。他の誰が見てもはっきりと分かるように、まとめられている。その仕事の進め方は自身の業務にも影響を与えた。「細かい設計の部分でも、自ら進んで決めるようになりました。決めるようになったというよりも、『自分が決めなければ話が進まない』という覚悟が芽生えたのかもしれませんね」。

50+50で100以上のアイデアを

デザイナーの仕事で一番嬉しいことは、お客様が喜んでくれること。学生時代は、「あれがしたい」「これがしたい」という想いが先走っていた。しかし、三井デザインテックに入社し、自らの手で様々な空間を手掛け、お客様の求める物を直接目にするうち、心境に変化が訪れた。「デザインに関するブログや雑誌を見たり、新しくできた建物を見に行くことで知識を蓄えています。次第に表現できる空間のバリエーションも増えてきました。これまでになかった新しい空間のアイデアをCGや模型で実際に形にすると楽しくて仕方がありません。半分仕事で、半分趣味ですね」。

世の中には多くの街があり、どれも異なる表情で魅力的。これからは、いろいろな街の飲食店を手掛けることが目標だ。飲食店では、食事はもちろんその空間も重要視される。「友達が『あそこのお店、雰囲気が良いよね』と言ったお店が、実は自分が内装を手掛けていた...そんな仕事がしたいですね」。とびきりの笑顔でそう話す、その目は将来への希望で輝いていた。