Interview

スペースデザイン事業

あっ、これ! オレのデザインだ。

目が釘付けになった。たまたま立ち寄った本屋で手にしたデザイン雑誌をぱらぱらと眺めていたら、自分が内装を提案したホテルの客室が特集で取り上げられていた。「あっ、これ!」驚きと喜びが交差した。その客室は、数年前に手がけた案件だった。考えたコンセプトは2つあった。その1つは、"外国人から見た日本"。壁紙、カーテン、ベッドカバーなどのコーディネートは、和風でありながら和ではない、すこしモダンな印象のものを選んだ。そして、もう1つのコンセプトは"ゆらぎ"。「とても眺望の良い、きれいな夜景の見える客室だったんです」。だから、窓の外にゆらめく光の美しさを、部屋の中にも表現できないかと考えた。「いろいろと探した照明器具のなかから、これっていうものを室内に設置して、光のゆらぎが壁に映るように工夫しました」。通常壁に飾られるアート作品は、その部屋だけは飾られなかった。光のゆらぎが、立派なアートになっていたからだ。雑誌を手にしながら、プレゼンした当時のことが脳裏によみがえる。シーンとした雰囲気のなか、支配人が言ってくれた。"いいね、このデザイン"。温かい気持ちで本屋を後にした。もちろん雑誌は、記念として購入した。

現場も、設計も、そして営業も、やる。

一般的にいわれる営業らしい営業とは、少し違う。「私は営業ですが、現場の監督もやりますし、自分で図面も描きます。もちろん、お客様と打ち合わせもします」。ホテルの客室などをメインに、商業施設のインテリアを手がけるチームで、プロジェクトの進行を全般的に管理している。ホテルの仕事の場合、おもな仕事の流れはこうだ。ホテルの敷地と概要が決まったところで、インテリアのコンセプトを考え始める。それをホテル側の担当者とつめ、具体的な案を提案する。それから、建設会社の担当者とコストの調整を行ないながらデザインを作り上げていく。

大変なところは、つねに提案を求められるところ。その要望に応えていくために、日頃から考え、準備していなくてはならない。「お客様の言葉を待っている"待ちの姿勢"ではいけないので、いつも先を見越して考えています。多くの案件が同時並行で動いていて、頭の中が混乱しそうになるときもありますね」。客室の稼働率を上げるにはどうしたらいいか、あそこのホテルの内装はどうだったか、自分だったらどのようにデザインするか、自分たちには何ができるのか。そうした思いが、何かのタイミングでうまくかみ合って、評価されることがある。「その瞬間が、嬉しくてたまらないです」。

世の中に、もっと認知されたい

会社の先輩が話していた、あるストーリーが印象に残っている。それは、三井デザインテックのテレビコマーシャル案。
――― ある主人公が家を出て会社に行く。どこかで買い物をする。どこかで食事をする。出張でホテルに泊まる。途中、具合が悪くなって病院に寄る。そして、元気になって家に帰る。この物語の主人公が過ごした空間は、実はすべて三井デザインテックがデザインしたものだった。 ―――
「これは実際のコマーシャルではなく、仮に作るとしたらの話だったのですが、でも実際に、そういうことが起こる可能性は十分にあると思っています」三井デザインテックは、人が住まう空間、仕事をする空間、人が安らぎ憩うホテルの空間など、いろいろな空間に携わっている。だから「あれも三井デザインテックだった、これも三井デザインテックだったという話は、必ずしも夢じゃない。いつかそれを実現したいと思っています。私たちの仕事は、いわば社会での縁の下の力持ち。でも、その成果をもっと多くの人に知ってもらいたい。」そういう熱い気持ちが、仕事をする上での大きな原動力になっている。