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今回のプロジェクトにおける設計・デザインのポイントを教えてください

ビジネス利用のお客様が多いので、「ワークスペースを広くとりたい」「明るさを確保したい」という2点がクライアント様からのご要望でした。
まず、ワークスペースのポイントからお話ししましょう。最近では、パソコン使ってお仕事する方がほとんどなので、A4のラップトップをデスクに置き、その隣に資料を広げても快適に作業ができるほどの広さを確保したいと考えました。そのためには、デスクの天板の幅が2mは必要です。デスクの上には電話やテレビなども置かなくてはならないので、間取りに余裕のある部屋なら、2.4mは確保できるよう調整しました。
ただ、デスクの“奥行き”をどうするか、という点が問題でした。これまでも、「三井ガーデンホテル」のデスクの奥行きは広く設定されており、約650㎝あったのですが、デスクの幅を広くとるために配置換えをしたところ、今度はデスクとベッドの間隔が狭くなってしまい、イスを出し入れするときに窮屈さを感じてしまうのでは、という懸念がありました。そこで、デスクの奥行きはA4のラップトップが収まる450㎝程度に設定し、その分の尺をデスクとベッドの間の“ゆとり”として設計することにしたのです。こうすることで、ワークスペースも確保でき、ゆったりとした気分で仕事をすることができるようになりました。

次に、「室内の明るさ」について。これは、非常に難しい問題がありました。なぜなら、ホテルの客室は“寝室”でもあるため、部屋全体の照度を上げてしまうと、落ち着きが損なわれます。そこで、デスクライトの灯りを強いものにして、ピンポイントでワークスペースのみを照らせるように工夫しました。さらに、ベッドのヘッドボードにスリットを入れ、その間からLEDのライトを照らすことで、部屋全体の印象を明るく仕上げました。このヘッドボードの照度自体は強くないものの、人間の目は光を敏感に察知してくれるので、少しの灯りでも部屋全体の印象を明るく変えることができるんです。

Q. プロジェクトを進める際、最も苦労したのはどんな点でしょうか?

やはり、「配線をどうするか」という点で苦労しました。以前は、床にフェルトカーペットを敷くホテルが多かったので、配線もすべてその下に敷いてしまえば良かったのですが、最近はタイルカーペットが主流。硬い素材の下に線を敷いてしまうと、床表面の凸凹が目立ちますし、さらにその上に物を置いたりすると、摩擦で断線する恐れが生じます。
今回、ワークスペースを広くとるためにデスクやベッドの位置を移動させなくてはならなかったので、電気のケーブルやテレビのケーブル、LAN配線などが部屋の中をぐるぐると巡っているような状態でした。そのため、この配線をどう処理するかで相当、頭を悩ませました。
結果的には、長年私とともに三井ガーデンホテルズの建設に携わっている工事担当と相談し、“配線隠し”のボックスを各部屋に設置することで解決しました。
リノベーションの場合、新築と違って一日の工事の遅れも許されないので、事前にこうした問題をクリアしておかなければ、工事が延び延びになってお客様にご迷惑がかかります。ですから、とくに慎重に詰めるようにしています。

Q. 「三井ガーデンホテルズ」の設計監修を手がけるなかで、ホテルを利用されたお客様からの“声”を反映させた部分はありますか

もちろん反映させていただいています。たとえば以前、「コンセントの位置が分かりづらい」という声をいただきました。調査をしてみると、茶系の家具に同じく茶系のコンセントプレートを設置していたのが原因でした。つまり、同系色だったためコンセントプレートの位置を発見しづらくなっていたんです。デザイナーの立場としては、「家具とコンセントプレートは同系色でまとめる」というのが、ある意味常識なのですが、使い勝手が悪くなっては意味がありません。そのため、「三井ガーデンホテル岡山」のリノベーションにあたっては、あえて黒系の家具に白いコンセントプレートを設置し、位置を分かりやすくしました。

Q.今プロジェクトにおいて、三井デザインテックだからこそ実現できた点や、成功のポイントについて教えてください。

このプロジェクトは私だけでなく、当社で工事を担当している鈴木も携わっています。私と鈴木は、「三井ガーデンホテルズ」様の物件を、これまでずっと一緒に担当してきましたので、ノウハウも集積されていますし、お互いの役割分担がしっかりできているので、「あ・うん」の呼吸で仕事を進めていける点が強みだと思います。
たとえば、今回の物件だけでも約60枚の図面があり、家具が出来上がったときには、すべてその図面に従ってチェックしていかなくてはなりません。また、現場で多少の微調整も必要になりますから、それらをすべて一人で行っていたのでは、間に合わなくなってしまいます。そのため、現場でのチェックや微調整はすべて鈴木に任せ、予定通りに工事が進むよう管理してもらいました。
リノベーションは時間との勝負になってきますから、鈴木が担当してくれることで、かなりスムーズに作業を進めることができるのです。
これまで「三井ガーデンホテルズ」に関するコンペの多くを当社が受注している要因は、経験値の高さと共に、こうしたコンビネーションの良さを評価していただいているのだと自負しています。

ホテルは、商業施設やオフィスと違い、お部屋そのものが“商品”です。だからこそ、最後の最後まで突き詰めて、より良いものに仕上げなくてはならない。そういった意味では、設計から工事まで一貫して手がけられることの意味は大きいと思っています。

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